9月に入って、人への投資により「生産性の向上」を狙う『人づくり革命』の具体策を検討する有識者会議「人生100年時代構想会議」の初会合に向けて調整が進んでいるという。
6月の首相記者会見で、政策の新たな柱に据えると表明し、8月の内閣改造で担当大臣を置いたことが具体的に進められようとしている。
人造人間でも、飛び出してしまわないかという不安が徐々に明瞭になる。
それは、あらゆる問題に対してスムーズに対処し、効果的な結果を生み出すという「人」ではない。
担当相が記者会見で発表した政策(※)から考えると、
政府が求める、国の政策に不平不満を言わず、賛同して生産性も
高めていく国民像
に仕向けられた「人」が、想像される。
※ 教育の無償化 給付型奨学金の拡大 授業料「出世払い」制度導入
高齢者向け給付中心の社会保障制度 「リカレント教育」充実
高等教育無償化の方向について茂木経済再生相は、オーストラリアの高等教育拠出金制度に触れている。
教育費用を政府が肩代わりし、学生は卒業後一定以上の所得を得るようになってから政府に返納する制度らしい。
◇ 現政府が奨学金の名で学生を縛り、将来渡ってその安定に
貢献せよ、ということではないか。
「奨学金」は、政策の言う「家庭の経済事情に左右されずに誰もが希望する教育を受けられるようにする」というものではなく、やる気と学力のある者に与えられるべきものだ。
さらにそれを、「革命」と称した。
革命は、「フランス革命」(支配者ー被支配者),「産業革命」(急激な変化)のように使われるべきだ。
「人づくり革命」と、政府が使うと、政府に求められる人間がつくられるイメージで受け取られるに相違ない。
結局は経済再生のために、教育を無償にするからいずれ国の経済に貢献しろというようなものだ。
かつて「一億総白痴」という言葉が言われた。
言葉だけが躍る「一億総活躍」。
これは、「一億総動員」だ。