この歳になると、誕生日など嬉しくはないものだ。
捨てるほどあるとか、十年前から一つずつ減らしているとかいう人たちもいる。
彼女がバイト代から鮨をとの誘いを予告してくれていたので、以前に比べていくらか浮き立つ気持ちもあった。
歳を二つ、三つ戻した
心地になった。
魚介類は新潟県の粟島と
静岡県伊豆稲取から直送
私の誕生日は明後日だ。桜桃忌の二日前。
彼女にとっては、勉強とバイトの狭間だ。
大学では、受験勉強をよくやってきた女子大生は昔と同じで、
高校生の延長のように勉強しているようだ。
高い授業料、奨学金借用のためにアルバイトを強いられている。
地方の大学にあっては、一層地味な感じがしてしまう。
暮らしの様子を聞くと、周りはみんな同様なのだろうけれど、応援して
やらなければと思わせている。
プレゼントは、時計だった。
高価な物ではないが、労働の貴重な対価だ。
5年前は缶ココアだったのだから、時が過ぎた
ことを感じさせられる。
彼女の誕生日は、二週間後。
希望を聞いたが、間に合うかどうか。
その距離を一步一歩楽しんでいるようでもあり、
その隔たりにじれているようでもある。