勢いのない夕立
2018.07.24 Tuesday
遅ればせながら、夕方になってから雨がぱらはらしてきた。
夕立と呼べるほどの勢いがない。
雷も一緒ではない。
乾いた地面を濡らしはしたが、萎れていた葉っぱを生き返らせるほどの力があるだろうか。
ヤツデは大粒の水滴をためている。
トレニアは背を低いままに花を付け、地面に顔をつけるかと思われるほどに垂れている。
ほんの少しだが、草木も人々も、潤った。
(これ以上降ったら、豪雨に遭った西日本の人たちに申し訳ない。)
ザアザア降りの夕立は、言葉だけにしておこう。
伊藤整の詩「雨が来る前」がいい。
ざあっとやって来いよ 夏の雨
地上のすべてのものは用意している。
山の麓から低くかぶさってしまった雲よ。
夏の緑はうす暗い蔭におおわれ
物ほしに白いものがかかり
燕は黒く曇天の下を飛び交い
人は重い頭をして室にいる。
降って来いよ 夏の夕立
その時 始めて人の目はほっと開かれ
草木も葉を そよがせるのだ
ざあっとやって来いよ 夏の雨
こんな夏の夕暮れは、叶わぬものをきっぱりと諦められていい。