度定年退職する公立学校教員110人が
退職手当削減が始まる2月より前の退職
を希望した。
これに対し上田知事は、県費削減効果
と周知期間を勘案して2月1日施行にした
と説明し、「2カ月も残して辞めるのは無責
任のそしりを受けてもやむを得ない」と批
判した。
火元の埼玉県庁
〈聖職か、それとも自らの老後か−。〉
などと見出しを付けられた「駆け込み退職」
(もともとこんな言葉はなかったのでは・・・)は全国に波及した。
そして、マスコミも「最も多忙な年度末に、個人的な金銭的事情による〈逃亡〉については〈あり得ない〉と非難の声が渦巻いている。」と同僚の反応まで加えて煽り立てた。
問題の発端は、昨年11月成立した「改正公務員退職手当法」にある。国家公務員の退職手当減額に伴い、埼玉県も昨年12月に条例を改正し、2月1日から施行する。勤続35年以上の教員が3月末に退職した場合、手当は現行の2800万円前後から150万円ほどの減額になる。施行を4月1日にすると、県費(埼玉県)は39億円の削減になる試算だ。
マスコミ各紙はそれぞれの立場を伝えた。「最後まで勤めるのが公務員の責務ではないか」と埼玉県庁幹部。「地方公務員の収入は思われているほど高くない。退職金が100万円以上減るのは老後のことを考えると厳しい。急な決定で、あの人たちだけとねたむ気持ちはない」と教育関係者。「目の前にいる子どもたちを放棄して教員が学期途中で辞めるとはゆゆしきことだ」と行政。
テレビなども、この時とばかりに「いわゆる評論家」を
引っ張り出して、「聖職者が」、「責任は」、「モラルは」と、
当事者を追求するものが多かった。
これらの言葉と「子どもたちのため」という美しい響きの言葉の合わせ技によって、反論できない人たちに刃を突きつけてはいないか。
こういう中で、埼玉県では28日までに「退職」を「撤回」する人も出た。
「最後まで職責を全うすることにした」とか。
25日文部科学省が各県教委などに通知を
出したのを受けて、埼玉県教育局は28日、
各市町村教委や県立学校に対し、「児童生徒
の教育活動や学校の運営に混乱を生じないよ
う求める通知を出したという。