大阪の高校生の自殺に端を発し、柔道女子代表監督の辞任騒動など、いま日本中に体罰・いじめ問題が大きな論争を呼んでいる。国民総評論家化していて、文部科学省も調査を強いられた。
「鉄拳制裁」をトレードマークとしてきた楽天の星野監督もスポーツ紙の取材に対して、「これはおれの考えだよ」と前置きして持論を述べている。
◇『体罰だ、いじめだ』と言うけれど
選手なんか指導者から言われるうちが
花やないか。それだけ親身になってく
れているということ。このままじゃ、
指導者はどんどん”事なかれ主義”に
なってしまう。ただ、死んだら負けよ。
それはアカン。◇
◇一番怖いのは、いじめがあったことを
生徒にアンケートをとって、生徒たち
が「いじめを目撃した」と答えている
ことだよ。なんで止めないんだよ。止
めたらいじめの標的になるから?じゃ
あ、みんなで一緒に、大人数で止めた
らええやないか。◇
◇すべては幼児教育なんだよ。親が、ちゃんと教育せい!学校にいるより
家にいる時間の方が長いんだから。◇
「体罰全否定して教育は出来ない。」と、伊吹衆院議長が自民岐阜県連主催の政治塾で、スポーツ指導や教育現場の体罰に関する考えを述べている。
◇体罰を全く否定して教育なんかはできない。この頃は少しそんなことを
やると、父親、母親が学校に怒鳴り込んでくるというが、父母がどの程
度愛情を持っているのか。◇
◇何のために体罰を加えるのかという原点がしっかりしていない。立派な
人になってほしいという愛情を持って体罰を加えているのか、判然とし
ない人が多い。◇
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マスコミなどは、受ける側の反応の変化も深刻に受け取らなければならなかった、と言う。
◇体罰は極論すれば犯罪で、身体に痛みを与えれば暴行だし、傷つければ
障害になる。決して許されない行為である、という認識が社会に深まっ
てきたのだと思う。体罰が許されないのは、その形態にもある。監督と
選手、教師と生徒など、受ける側が立場的に抑圧された状態で起きる。
逃げ場のない中での不当な行為だ。◇いじめ問題にも共通するのだが、
被害と自殺を結びつけるのは難しい。手を挙げた結果が人の死に繋が
る。そういう時代になってきたことを再認識しなければならない。◇
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新聞では読者が意見を寄せる欄でも、この話題に溢れている。「確固たる信念で生徒を指導して」と題するものもあった。
◇運動部顧問の先生や指導者の皆さん、世間の非難・悪口にめげず、おびえず、明日のある子どもたちのために声を大きく確固たる信念を持って指導してください。◇生徒諸君には「叱咤激励を励みに頑張ってみよう。必ず明日に繋がる技と力が身に付くよ。厳しい指導もあるだろうが、見どころがあるから厳しくするんだよ。」と。◇保護者の皆さんは、休日には声を大きくして子どもたちを激励し、やる気を起こしてください。◇
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一方多くの人の前で華やかに「体罰否定論」
を展開した人もいる。元巨人桑田真澄氏。
◇絶対に仕返ししないという上下関係の構
図で起きる。スポーツで最も恥ずべき行
為です。殴られるのが嫌で、指導者や先
輩が嫌いで野球を辞めた仲間を何人も見
ました。愛情の表れなら殴ってもいいと
いう人もいますが、私は体罰に愛を感じ
たことは一度もありません。伝わるかど
うか分からない暴力より、指導者が教養を積んで伝えることが確実です。◇
彼に、こんなことを言わせる資格があるのか。85年ドラフト入団の経緯、現役時代の金銭にまつわるトラブル ・・・全部忘れてしまった人はいないだろう。彼は、市長に引っ張り出され、踊らされた感がある。知名度の高い人を使って、教育界を自分の言うとおりの動かす手段になってしまった。
さらに、市教委主催の教職員向けの研修会(市長・運動部顧問ら513人出席)でも、「駄目なものは駄目で、論理なんていらない。一番卑怯だ。」と訴えたという。彼の言う「教養のある所作」とは、とても考えられない。
自分が育った世界、自分を育てた世界を(全)否定していないか。指導してくれた監督や先輩に申し訳が立つのか。しかも、政治家の手先に使われて哀れだ。(夏の参院選にでも出るつもりか。)
好きか嫌いかなんて理由はないが、好きだと思ったらその人の100%が許せる。