に対峙している八溝山が、
私を招きながら霧に隠れて
しまった。そして私は翌日
八溝山の山頂に立った。
私はランニングをしてい
た頃、ここをトレーニングの場所としていた。茨城県大子町上野宮蛇穴、県道28号の参道口から山頂まで7.2km、標高差が約620m(412〜1022m)と設定していた。−−スタミナがあるうちの上り、疲労してからの下りは、もう下半身が自分の体重を受け止められないくらいだった。
「攻撃的なリハビリ」のために、五月の連休以降「八溝に登(上)る」よう
になったが、今回は八溝に呼ばれている気がして、何か気がせいて仕方なか
った。 〈 5回目となった。いまや私を鍛える山となっている ・・・。 〉
昨夜の強い雷雨で倒木や崖崩れが道を狭くしていた。歩いて山頂を目指す
者など一人もなく、車が何台も追い越していった。
リハビリの筈なのに、歩き始めるとペースを気にしたり、より短い時間で
歩ききったりと焦っているところがある。
山頂付近でノリウツギが、白い花房を木
いっぱいに付けて、私を迎えてくれた。標
高1000mくらいなので、木の丈が5m
も7mもあり、那須などで見るよりはずっ
と長身だ。緑の中の白い花は、疲れた身体
を癒してくれる。
1022mの山頂標識に向かうと、アキアカネの群れ。山頂にも、夏が来ている。
900mくらいまで下りたところで、ふ
わふわと飛翔するアサギマダラに出会った
これまでにも見ていたが、半透明水色の斑
点、尾に褐色斑点(雄)だ。今年は最初だ。
人をあまり恐れない、と紹介されている
車を止めて、窓を開けると、中に入ってく
る。出るまで帰れない。
これからフジバカマ、ヒヨドリバナ、ア
ザミ類が続いて咲くからアサギマダラも、たくさん集まってくるだろう。
アサギマダラが止まっているのはトラノオだ。
南西諸島付近が繁殖地だと記憶していたが、日本本土の太平洋沿岸の暖地
や中四国・九州では幼虫越冬しているらしい。また、繁殖のための渡り(南
下)は、ずっと前から知られていたが、この時期の北上は個体数が少ないそ
うだ。