一体何の映像だろう。
第68回国民体育大会「ス
ポーツ祭東京2013」の開
会式だ。
調布市味の素スタジアム。
光で描かれた5色の輪が会場
のあちこちに浮かび上がり、
五輪ムードを高めた!
−−各報道のコメント ・・・。
1964年の東京五輪で、空に五色の輪を描いた航空自衛隊の曲技飛行チ
ーム「ブルーインパルス」までも登場して、スタジアム上空で見事な?編隊
飛行を披露した、とか。−−その飛行のために、どれほどの燃料費がかかっ
たのだろうか。いやいや、貧乏人的な発想だが。
3万3千人の観客、2万人を超える選手団、6500人の警視庁職員と、
100名を超える都職員、500名以上の地方自治 体の職員が駆り出され
ている。「国体改革」が叫ばれ10年も経つのに、それでもまた何も変わら
ない国体を継続している。壮大な茶番(開催都道府県の天皇杯獲得など・・・)
を繰り返すために、児童・生徒まで動員され、閑古鳥の競技会場を埋めるた
めに自治体は躍起になる。大会期間中の総経費は1000億円!
大会関係者は、今回の国体を東京五輪の「予行演習」ととらえ、開会式も
五輪に倣って実施して五輪開催の機運を高めることを意図していたという。
猪瀬都知事は「20年のオリンピック・パラリンピックの成功につながる大
会となるよう、都民の総力を挙げて開催いたします」と開会宣言している。
五輪へつなぐ「おもてなし」東京国体開幕、五輪意識多彩な演出、7年後に
胸膨らませ、東京で54年ぶり五輪ムード高める、等の見出しが乱れ飛んだ。
あぁ、そういえば、五輪の聖火に当たる「炬火」は、障がいのある選手と
健常者が2人一組でリレーし、点火した。
戦後復興後の64年大会、震災復興の20年大会にするという趣旨で、
「盛岡さんさ踊り」など東北を代表する6つの祭りを再現する人々が参加
した。被災者が喜んで競技場を練り歩いていたのだろうか。
震災復興(原発事故からの復旧を含む。)のための、人手・労働力、技術、
建設資材等が、既に東京に向かっていて、復興・復旧が計画通りに進んで
いないそうだ。震災からの復興があっての五輪ではないか。
あの経費で住宅を買い上げ、仮設住宅への避難者に提供すれば、震災復
興の半分は解決し、被災者の笑顔も少しは戻るのではないだろうか。
この五輪の中に浮かび上がらせた文字は、「結」、「夢」、「絆」だ。
どういう意味だかよく分からないが、3文字は特別な関連はなく、開会式
に参加した高校生が書いたらしい。やはり「絆」が〈私たちはつながって
いる〉みたいな、「ありふれた」押し売りなんだね。
国体は戦後の1946年から行われている。戦前は1923年から43
年まで、明治神宮競技大会として行われていたという。
この戦前の大会のスローガンは、「御祭神(天皇)の御前に国民の平素の
心身の鍛練の成果を奉納」することだったらしい。戦前は、天皇=神だっ
たからね。今でも開催要項に「天皇陛下出席の開会式」が定められている。
正に「行幸(巡幸)」なのだ。−−そう言えば、上代文学を研究する教授の授
業で、それらしき話を聞いたことを思い出した。