さくらは、西行の桜か、石部の桜か、ある山桜か・・・。古に倣して桜を眺め 

    自らの過去・現在・未来の生への執着・悔恨・不情理・謝罪・希望・理想を記して      

    この生の証しとする。
山あいの村の風祭
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           地方紙が人々の暮らしをカラーで
        伝えていた、鮎田(栃木県茂木町)
        の「風祭」の明るさを見て、1年が
        経とうとしていた。
         それを待つように時が流れ、それ
        こそ何も持たずに出かけてしまった。
        丁度1年前に報じられた記事と寸分
         違わぬ光景に感激し、我を忘れてし
         まった。山あいの村の、田んぼの畦
     に、浴衣の女の子の笑顔、飾りの花々・・・。

     風祭(風祭り:かぜまつり・かざまつり)は、日本各地にあったらしい。毎年二百十日前後に行われる嵐を鎮めるためのまつりだという。二百十日は台風襲来の特異日のため、収穫前の農作物が被害に遭わないよう祈願することを目的としているとも、地域の人に聞いた。

       

     数日前から万灯(まんどう)の準備をするのだという。竹竿に、四角い枠に紙を貼って「風祭」や「大山神社」、「鮎田上組」などの文字を書いた箱形のもの。頭には、赤い布の覆い。四方に、小さい模様の入った提灯。そして、腕のように竹籤にお花紙の花、一本に五つ、七本付いていたか。

     日の暮れ方を待って、万灯にろうそくが灯され、地域の人々が捧げ持ち、近くの神社に奉納される。
     しばらく前から始まるのを待っていたよそ者の私に語った。もう百年以上も続けられている行事だと。その始まりを告げる太鼓の音は変わらないが、笛を吹く人がいなくなった、もっと賑やかだったと。それでも、録音の笛の音が流れ、進む宵闇に一瞬だが、同列の行事だという「おわら風の盆」の情景を彷彿させた。

       

     神社へ向かって、万灯を揺らしながら、あるいはぶつけながら参道を進む。あちこちで歓声が上がり、万灯の明かりが周囲を照らし出して、祭りの雰囲気を盛り上げる。その明暗が、踊るように身体を動かしながら進む子どもを、少し不安げに見守る女性の顔を照らす。
     この時万灯から離れた飾りを持ち帰り、無病息災や五穀豊穣などを願う「お守り」にしたと地元の人に聞いていた。帰りに、その花を一つ貰ってもいいかと聞いたら、たくさんついてものを持って帰るよう、差し出してくれた。私と同年代の女性であった。

     祭りだから、「食」なども古くからのものが作
    られただろうか。私は一見の者だったので、祭り
    の上辺だけを見てきたが、少なくなってしまった
    「こういうもの」を残していってほしい。祭りの               
    やり方などについて文字で書かれたものが一切な
    いというから見て、聞いて受け継がれている。時
    代が変わっても、人が変わっても、百年前の心は
    継承されている。


     
    Posted by : 桜の好きなKOMUT | もん・さいじき | 21:56 | comments(0) | trackbacks(0) | -
    麗姿二つ
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       8月も下旬に入り、自由な時間がなくなってきた。そういうときに限って、あれもやりたい、これもやりたいと思うものだ。

       この間、オオムラサキが来るところがあると聞いていたので、ぜひ見ておかなければならないと思った。

       私にはその前に、アサギマダラでなければならなかった。
       八溝山の。そして、登山口から 7.2kmを歩いて上って、会わなければならないと決めてきた。

       海抜 400m付近から歩き出し、5km 過ぎ800mあたりまで上れば、会えるかもしれない。
       待ち合わせの場所に急ぐような気持ちになりつつ、どこか、その麗しい姿を見るために少し勿体を付けていることに審判を仰ぐような心持ちで歩いて行く。

       そして、やっと会えた。

          

       ヒヨドリバナで吸密する姿が、私たちにはゆっくりと見られる。前翅は黒、後翅は褐色で、半透明水色の斑点が並ぶ。この後翅の先がオレンジも、まさに自然そのものの色で、目に焼き付いてしまう。
       アゲハチョウくらいの大きさだが、細かく羽ばたかない。花から移るときもふわふわと飛翔する。「人をあまり恐れない」と説明されているが、その通りだ。撮影していて近づき過ぎたとき、一度飛び立ってしまうが、私の肩に止まったかと思えるほど近くを飛び、また花に戻っていく。

       トラノオの時期が過ぎ、今年はヒヨドリバナが少なかった。アサギマダラは、もう帰り始まっていたのかもしれない。四国南部で羽化したのだとすると、直線距離にして約 800kmを旅していることになる。
       また来年、あなたの麗しい姿に会えるのを楽しみにしていよう。


       日本昆虫学会による国蝶選定で、アサギマダラなどをおさて選ばれたのがオオムラサキだ。
       各地で保護したり増やしたりする活動が行われ、個体数は増加しているようにも思える。
       意外に、近くに「来るだろう」という場所を聞いて行ってみた。

       そんなに簡単に出合えるはずがない。それでも来たんだから何とか見たい。来ないだろうか。30分は過ぎ、1時間近くになっただろうか。来た、来た。

       

      こちらは、スズメのようにすーっと飛んできた。
      昨日の夕立にも、それまでの幾度とない風雪に耐えてきた姿ではあったが、翅の紫には国蝶としての威厳が感じられた。
      私がこの姿をカメラに納めたのは、(彼女と?)2mもない距離だったろうか。私に、そこまで近づくことを許してくれていた。
      若くない自分を見るようでもあるが、また会いに来るよ。

       
      Posted by : 桜の好きなKOMUT | もん・さいじき | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0) | -
      夏の想い
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          東の空の入道雲が勢いを増し、雷を呼んでいるよ
        うだ。暑い一日の流れからは逃れられない。この夏の風景は、縁側に寝そべって読む本の横から私の視界に入ってきた。

         若い世代に宮本輝の『螢川』を薦めた代わりに、重松清の『日曜日の夕刊』を読んでみた。
         「チマ男とガサ子」、「セプテンバー ’81」など、登場する大学生を眼前に見るような軽妙なテンポで描かれていて、面白く読めた。
         「桜桃忌の恋人」に起こる事件は、太宰治に関する豊かな知識が垣間見える。恋人宮原さんは太宰を崇拝し、太宰が好んだであろう女性の姿になっている。悪いことには、女性の美しさやひたすらな想いの表現から、渡辺淳一の『阿寒に果つ』を読み返すことになってしまった。

         さらに悪化したことには、その間に読んだ小野友貴枝著『那珂川慕情』の “亜矢”、水樹涼子著『花巡り』(いずれも栃木県内の土地、人物等をモデルとしている。)の “しおり”が、比較的身近な女性に重なってしまった ・・・。

         夕立は確実にやって来て、首をすぼめながら子どもの頃の雷を思い出す。そして、立ち去るまでの身体の沈黙は、今の想いを自らに確認させてくる。


          夜半過ぎの月は、既に身を細めている下弦の月の
        筈なのに、雨後の水蒸気にやや輪郭がぼやけている。

         明日の朝は少し気温が下がりそうだから走ろう。
         再開したランニングは、週一回のペースとして、年末の「はが路ふれあいマラソン」に出ることを目標としている。

         「何かのために」、「誰かのために」とか・・・。最終的には、身体の老化を遅らせることと、ゴルフにおけるショットの安定のために下半身を鍛えておくことだ。

         長い休みには、弟たちが集まって応援してくれるのは嬉しい。

          
                            ('14 8.17 鷹彦スリーcc)

         暑さの残る夏の日の想いの、秋の実現に思いをはせる。

           なんにつけ一応は 絶望的観測をするのが癖です
           わかりもしない望みで 明日をのぞいてみたりしないのが癖です
                      ( 中島みゆき「明日天気になれ」 )




         
        Posted by : 桜の好きなKOMUT | ひとりごと | 05:35 | comments(0) | trackbacks(0) | -
        凮月は優し
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           my golf-life の「転」のホームコースを凮月CCとすること
          にした。

             27日の7月月例参加も電話で申し込むと、かつて親しくして下さった船山さん、花井さん、坂本さんと組んで下さった。

           雨で終了の南No9.ホールアウト後、松元さんに挨拶した。今は錬成会の会長をしていることは知っていたし、年頭の賀状は欠かさなかったので落ち着いて、「月例に参加しました。」と言うと、「倶楽部対抗はどこから出ているんだ。」という問いに「今は0です。」と答えると、「凮月の錬成会でやったらいいじゃないか。」と言ってくれました。私の「錬成会でやらせてもらえますか。」に、「もちろん。がんばってくれ。」と・・・。「再入会」で処理された。−捨てる神あれば、拾う神ありだ。−

             錬成会の定例会は第二日曜日。8月10日は、台風11号が四国から日本海へ縦断する日で、朝から断続的に強い雨 ・・・。

           北No4.2ndから

           シニアを目前にして、自らの人生の「起承転結」の「転」と擬えたが、それと同様にいかに「結」ぶかを問われている。だからホームコースをどこにするかは重要な問題で、「結」のプレーをどこが楽しませてくれるか模索していた。
           野球から乗り継いで、ミイラ取りがミイラになってしまった状態だが、Uiに「移った」感もあり、なかなか歩が進まなかった。東の宮、鷹彦スリーに、比較する力はなかった。また、倶楽部自体は勿論、マスター室やフロントのスタッフの皆さんにお世話になることが多いと思われる。〈宜しくお願いします。〉

           10日は、その雨の中。コースは、優しくなかった。

           中No4.par5の2ndから

           やや左目に3rdを100yds残すように打とうとしたが、107yds残ってしまった。今では、距離表示がグリーンエッジまでに変わり、やや合わせにくくなった。
           雨もあり、ショートして手前ラフ、アプローチが強く1ピンオーバーして、打てずボギー。口惜しい。またこんなのを繰り返すのか。

             私たちは、漢詩の絶句の構成をなす「起承転結」を本来の意
            味から転じて、文章やストーリーを4つに分けた構成又は各部
            の呼称として使っている。自らの生き様もこれに擬えると、
            まさに「転」の半ばを過ぎたところで、いかに「結」ぶかを問
                            われていると言っていい。

           ゴルフも、ここ凮月で「転」から「結」と締めくくるようプレーしよう。
           私を凮月入会当時から可愛がってくれた故村田昌一郎さんが、ここに呼んでくれたのかもしれない。私は今、村田さんが社長をしていたテンペスの近くに勤めている。−何かそんな、嬉しいが及ばぬ因縁を感じている。




           
          Posted by : 桜の好きなKOMUT | ごるふ | 14:30 | comments(0) | trackbacks(0) | -
          鳳仙花の赤
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             さっきまで降るような勢いだった蝉時雨が、ぱたっと止んだ。
             夏の夕暮れは、どこか物寂しい。

             日中の活気と喧噪の後にやって来た静寂は、狙いを付けたように私に入り込んできた。

             瞼に赤いものが残っている。昼間見た鳳仙花だ。

              悲しいですね 人は誰でも 
              明日流す涙が 見えません
              別れる人と
                  分かっていれば初めから
                  寄りつきもしないのに
              後ろ姿の あの人に
              愛しすぎたわと ぽつり
                  ほうせんか 空まで届け

                  中島みゆき「ほうせんか」
                                  

             中島みゆきのように「別れ」を言うほどの余裕はない。

             想いが熟して弾けるほどに、一生懸命やりたい。そのことだけは間違いのないことだ。

               草がくれ 種とぶ日なり 鳳仙花   水原秋桜子

              〈 密かに、自らの想いが成って、種を飛ばすその日となる 〉
                のを願って悩み続けよう。


             ところで、可愛い女性を形容するに、グラジオラスとホウセンカと、どちらが相応しいだろうか。

               

             夏の花を見ていると、「おー」、がんばらなければ、と思う。
             不埒でしょうか。( 中島みゆき「グッバイガール」)

             
            Posted by : 桜の好きなKOMUT | ことば | 06:45 | comments(0) | trackbacks(0) | -
            ささいな この頃 3種
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               葉月は、お盆の月。
               忙しく暮らしていて、日頃から仏前でゆっくりと手を合わせる暇がないのだが、今月ばかりは別だ。

               祖霊をお迎えする準備は、朔日から始まる。
               地獄の釜の蓋が開き、お盆に帰ってくる御先祖様があの世を出発する日に、道中の食糧にと供えるのだと、小さい頃に聞いていた。この地方(栃木県?)の風習らしいが、祖母の釜の蓋の饅頭作り(母も作った。)からお盆の準備が始まったいう。

                今は作る人がすくないためか、お菓子屋などで、
               この日に合わせて売っている。
                私が供えたものも、「釜のふたの・・・」のラベル
               が付いている。

                続いて、墓掃除から盆棚の準備となる。

               あっちの本屋でも、こっちの本屋でも、親子連れに出会う。
               そうか、夏休みの宿題、読書感想文だな。
               休み前、職場で〈高校生へのお薦めの本〉を問われた。
                   《 私は、教員であることを伏せながら文章を書いてきた。
                     それは、仕事上の体験を書いたとき、登場した人物が
                     誰かが分かったり、正直な内容が内部告発になったり
                     はしないかということ危惧していたからだ。小・中の
                     教員を退職して、高校の講師の今、それらが退職エン
                     トリーともならないよう気を付けながら書き続けたい。
                     ここで、言っておかないと進めない。》

                    私は、宮本輝の『螢川』(・泥の河)を、
               次のように紹介した。

                銀蔵爺の「蛍が降るように出るんじゃ。こんな
               ことは滅多に起こることじゃねぇ。」を待ち望み
               ながら、少年に起こる父の死、友だちの事故、淡
               い初恋などを通して北陸の人、自然が織りなす余
                情豊かな物語。『錦繍』に続く。
               

               推薦された図書は、一覧になって生徒に配られた。
               私は問われるままに答えてしまったが、それを見たとき、進学・就職のために勉強真っ最中の生徒には軽すぎず、そうでない生徒にも、主人公の竜夫は15歳だが、少し背伸びをさせることになるだろうかと心配になっていた。

               彼らにも読書感想文の課題があり、それも参考に本を選んで読書を始めた頃かと思った。一方、答えを要求する側の想像には、重松清、宮部みゆき、東野圭吾などが読みやすく書きやすいだろうと聞いた。

               そして、新潮社の「'14 高校生に読ませたい50冊」が出ていると分かって、その中に『螢川』あるのを確かめた。

               それで今、少し安心しながら重松清の『日曜日の夕刊』、宮部みゆきの『ペテロの葬列』、太宰治の『人間失格』、渡辺淳一の『阿寒に果つ』を20ページくらいずつ併行して読み進めている。こんなのは初めてだ。そして、私も読書感想文を書いてみようかとも思っている。


                
                プロフィールの似顔絵イラストを更新した。
                授業のために教室に行ったら、黒板に書いてあった
               もので、紙切れに写してもらって、使わせてもらうこ
               とにした。ちょっと若いがいいでしょう。
                (描いたのは、1年生で野球部のU.君)


               

               
              Posted by : 桜の好きなKOMUT | もん・さいじき | 23:30 | comments(0) | trackbacks(0) | -
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