いわゆる情報化社会は、時に予想を超えて思わぬ恵みをもたらしてくれることもある。
夏休み向けの美術館巡りに、横浜美術館での絵画展のポスターを見た。
M.カサット展
メアリー・カサットの名をそれまで知らなかった。
フランス印象主義の時代に米から渡仏してドガらに学び、帰国した後その思潮を「自立した女性芸術家」として、社会参与の姿勢を明確にしていったという。(Wikipedia など)
多くの母子像を描いたらしい。
カサットが求めた美の世界は版画の世界でより純化し、清涼感に
満ちたものになる。そこで主張されているのは、代償をもとめない
普遍的な〈愛〉の存在しか認めない、そういう強い確信がこめられ
ているように思う。(同)
メアリー・カサット展のポスターは、もう一つある。
「桟敷席にて」
19世紀後半オペラや演劇鑑賞はブルジョワの最高の娯楽であり
社交場。桟敷席で黒いドレスの女性が必死にオペラグラスで舞台
に見入っている。その女性を男性が見ている。
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周りの資料が、こんなことを言っている。
華やかな雰囲気と対照的な黒いドレスの女性の力強い眼差し。
左手に持つ固く閉じた扇子が、彼女の強い意志を表している。
桟敷席の奥には、オペラグラスで彼女を凝視する男性。身を乗
り出すほどだからきっと好色の視線だろう。
しかし、彼女は全く意に介しない様子。右手で自分に向けられ
た不快な視線を遮るようにさえ見える。
従来、女性は男性に見られる存在であった。
彼女は、男性の視線に一切応答せず、自らが主体であると主張する。
カサットは、男性に依存しない自由な生き方を描いている。
私は、それを見逃した。横浜での開催期間が長いと ・・・。
やはり実物で観ないと駄目だろう。
京都での公開が、今月末から12初旬だから是非観たい。
この「少女像」もいい。
ルノワールの「イレーヌ・カーン・
ダンヴェール」と同じくらい、いい。
ちょっと遅い京都の紅葉を訪ねて、国立近代美術館まで行きたい。