顔を洗う手が優しいような気がする。
変わらぬ自分の手のはず。
PCのキーボードをたたく指のタッチがソフトだ。
スマホでメールを打つのも、少し速いか。
昨日、餅をのしたからだろうか。
普通は手のひらでやるが、昨日は搗く時間をちょっと延ばした分、餅が冷めて固くなったから、端の方を伸ばすのに指先に力を入れたせいかもしれない、などと思う。
気のせいではあろう。
温かい餅の感触はよかった。
餅つきは、臼と杵でやらなくなっている。あの音が懐かしい。
のすのにも、ビニール袋とめん棒などを使う人もある。
前日に洗って浸すことから、搗いてのし餅にして、後片付けまでに随分水を使ったはずだが、手が柔らかくなっている。
指先のがさがさも減っている。とれた指先の皮が、餅に移ったのかなあ。
餅搗機などの便利な道具も、手間を省く物もなかった昔の人たちは大変だったろうが、案外身体にとってはいい作業だったのかもしれないなどと言ったら、叱られるだろうか。
私には時間があったが、正月の餅を買ってもいいような気になっていた。
「今年も30日にやる。」という弟のかけ声に助けられた。