文部科学省が、2019年度公立学校教員採用試験の実施状況を発表した。
小学校の競争率は、2.8倍(前年度3.2倍)、
中学校は 5.7倍(6.8倍)、
高校は 6.9倍(7.7倍)だった。
公立学校全体の競争率は4.2倍(同4.9倍)。
競争率が最低だったのは、91年度の3.7倍。
バブル期の91年度と並び過去最低となった。
年
これは、第2次ベビーブームへの対応で大量採用された教職員が退職し
たことによって、採用者数が同年度の約5倍に当たる1万7029人となった
ことが最大の要因とされている。mainichi.com
新潟県(1.2倍)や福岡県(1.3倍)など2倍を切る自治体も12県市に上り、倍率が下がったことで、教員の質の低下が懸念される。
組織で人材の質を維持するのに必要とされる倍率は3倍とされ、「危険水域」を割ったとも報じられた。jiji.com
ここから今後の教育界に不安を感じることは、倍率低下ではなく教職人気が下がっていることだ。
収入の安定性などで希望者が増えていたが、働き方改革が叫ばれても一向に進まない状況から判断しているのではないか。
次に、小学校での講師の量的・質的不足を招いている問題も見逃せない。
産休・育休や病気などの休職者の代替要員としては通常、非正規雇用の講師が派遣されるが、従来その多くは採用試験の不合格者が担ってきた。待遇の不安定さなどが、教育界から離れてしまうのを促してしまっている。
県内(栃)では、11月と12月に、わいせつ事案(懲戒免職1件・処分検討中1件)と不適切ないじめ対応(懲戒処分1件)が、全国的なニュースとしてことがあった。
いづれも、「教員としての」資質を問われる話題を生んだことだろう。
問題を起こした教員は、私の後輩だ。勉強しない子どもや、こういう教員をつくってしまったのは、私たちの世代の失策だったと思う。
真に憂慮すべき問題は、ぜひ教員になってほしいという、いわゆる「優秀」な人材が応募してきていないのではないかということだ。
それは、2005年以降、政府の規制緩和で小学校教員の養成を行える大学が急増したことが影響している。
かつての受験者ほど学力が高くない学生でも、一定の単位を取れば免許を取得しやすくなっているのだ。
卒業時に学力なり、教員としての資質が付いていれば問題はないのだが、新規参入した大学等のなかには、入試の偏差値(予備校作成)が低いところもある。
☺ これには、大学改革を前提として入試制度から変えていこうとする考
えが関わっている。(政府は賢すぎる国民を創ろうとしてはいない。)
その真ん中あたりに、AO式を含む推薦入学がある。私立大学のほと
んどが採用し、国公立大学もその枠を広げている。
大学入学者の約6割が、これで入学するのが現状だ。
教科・科目数の多い大学入学共通テストは形ばかりで、各大学の個別選抜でも、より多面的な選抜方法を行うとしながら、面接を入れる程度で、学力をみるのは1教科のみですむ。
偏差値が低い大学を受験するなら、「7当8落」で十分。
4年後に、何倍もの資質教養と知識技能を蓄えるとは想像しがたい。
☺ 私の教職最後の、高校講師の5年間、こんな日が来ると思っていた。
申し訳ないが、今の私は傍観者でしかない。